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貨物自動車運送事業報告規則の逐条解説 — 全4条を条文つきで読む

最終更新: 2026年10月 / 根拠: 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov法令検索・2026年10月2日取得の現行条文)、 貨物自動車運送事業法 第37条・第37条の2・第60条・第75条、国土交通省公表の改正省令新旧対照表(令和7年・令和8年)

事業報告書を「決算後100日以内」、事業実績報告書を「7月10日まで」に出す — この2つの期限の出どころが貨物自動車運送事業報告規則です。本則はわずか4か条(+第2条の2)で、 誰が・何を・いつ・どこへ出すかはすべて第2条の1枚の表に書かれています。 この記事では現行の条文を全文引用し、条ごとに実務上の意味を添えます。条文は2026年10月2日にe-Gov法令検索から取得した現行のもので、 令和8年4月1日施行の最新改正を反映しています。

この省令の位置づけ

法令名貨物自動車運送事業報告規則
法令番号平成2年運輸省令第33号
公布・施行平成2年11月29日公布、平成2年12月1日施行(貨物自動車運送事業法の施行日)
根拠法貨物自動車運送事業法 第60条第1項(報告の徴収)
構成第1条(趣旨)、第2条(事業報告書及び事業実績報告書)、第2条の2(運賃及び料金の届出)、第3条(臨時の報告)、第4条(報告書の経由)、別記第1号〜第4号様式
最終改正令和8年3月16日国土交通省令第13号(令和8年4月1日施行)

「規則」と名が付いていますが、法律ではなく国土交通省令です。 ただし法第60条第1項が「国土交通省令で定めるところにより…報告をさせることができる」と委任しているため、 この省令に書かれた報告をしないことは法律違反になります(後述の罰則)。

第1条(趣旨) — 法律のどの条文を受けているか

第一条 貨物自動車運送事業法(以下「法」という。)第六十条第一項(法第三十七条第一項及び法第三十七条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告については、この省令の定めるところによる。貨物自動車運送事業報告規則 第1条

受けている法律の条文は次のとおりです。

第六十条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、国土交通省令で定めるところにより、貨物自動車運送事業者に対し、その事業に関し報告をさせることができる。貨物自動車運送事業法 第60条第1項

括弧書きの「法第三十七条第一項及び法第三十七条の二第三項において準用する場合を含む」は、第一種貨物利用運送事業者(第37条)と第二種貨物利用運送事業者(第37条の2)にも、第60条第1項の報告徴収が準用されるという意味です。 つまり、この省令はトラック事業者だけでなく、利用運送事業者への報告徴収の根拠にもなっています。

この括弧書きは、直近2回の改正で書き換わった箇所です。令和7年1月31日の改正(国土交通省令第3号)で「法第三十七条第三項」が「法第三十七条の二第三項」に改められ、 令和8年3月16日の改正(同第13号)で「法第三十七条第一項及び」が加わりました。 いずれも改正貨物自動車運送事業法(実運送体制管理簿・運送利用管理者などの制度)の施行に伴う条ずれと対象拡大で、事業報告書・事業実績報告書の提出義務そのもの(第2条)は変わっていません。

第2条(事業報告書及び事業実績報告書) — いちばん大事な条文

第二条 貨物自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く。)は、次の表の第一欄に掲げる事業者の区分に応じ、 同表の第二欄に掲げる国土交通大臣又はその主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長(以下「所轄地方運輸局長」という。)に、 同表の第三欄に掲げる報告書を、同表の第四欄に掲げる時期に提出しなければならない。貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項

条文中の「次の表」を、そのまま整理したのが下の表です。

第一欄: 事業者の区分第二欄: 提出先第三欄: 報告書第四欄: 時期
一 一般貨物自動車運送事業者(次号に掲げる者を除く。)所轄地方運輸局長毎事業年度に係る事業報告書毎事業年度の経過後百日以内
前年四月一日から三月三十一日までの期間に係る事業実績報告書毎年七月十日まで
二 特別積合せ貨物運送を行う一般貨物自動車運送事業者(運行系統が二以上の地方運輸局長の管轄区域に設定され、かつ、その起点から終点までの距離の合計(重複部分を除く。)が百キロメートル以上のものに限る。)国土交通大臣毎事業年度に係る事業報告書毎事業年度の経過後百日以内
前年四月一日から三月三十一日までの期間に係る事業実績報告書毎年七月十日まで
三 特定貨物自動車運送事業者所轄地方運輸局長前年四月一日から三月三十一日までの期間に係る事業実績報告書毎年七月十日まで

この表から読み取れることを、順に書きます。

第2項・第3項 — 「事業報告書」の中身の定義

2 前項の事業報告書は、事業概況報告書(第一号様式)並びに貸借対照表、損益計算書及び次に掲げる財務計算に関する明細表とする。
一 一般貨物自動車運送事業損益明細表(第二号様式)
二 一般貨物自動車運送事業人件費明細表(第三号様式)
3 第一項の事業実績報告書は、貨物自動車運送事業実績報告書(第四号様式)とする。貨物自動車運送事業報告規則 第2条第2項・第3項

「事業報告書」は1枚の書類ではなく、5点の総称だとここで定義されています。 貸借対照表と損益計算書は条文に名指しされていますが、様式の指定はありません(自社のものを添えてよい理由)。 様式が定められているのは第1号〜第3号様式の3点です。

構成様式書き方
事業概況報告書第1号様式第1号様式の書き方
貸借対照表定めなし自社のものでよい
損益計算書定めなし
一般貨物自動車運送事業損益明細表第2号様式第2号様式の書き方
一般貨物自動車運送事業人件費明細表第3号様式第3号様式の書き方
貨物自動車運送事業実績報告書(別の報告書)第4号様式第4号様式の書き方・記入例

※各様式の欄外にある「備考」(従業員数の定義、交通事故の定義など)は様式の一部で、条文と同じ効力を持ちます。 備考の内容は上の各記事で、該当する欄ごとに引用しています。なお様式の右上にある「事業者番号」については事業報告書では記入不要です。

第2条の2(運賃及び料金の届出) — 報告書とは別の30日ルール

第二条の二 一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者及び貨物軽自動車運送事業者は、運賃及び料金を定め又は変更したときは、 運賃及び料金の設定又は変更後三十日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した運賃料金設定(変更)届出書を、 一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業に係るものにあっては所轄地方運輸局長(特別積合せ貨物運送に係る運賃及び料金であって、 届出に係る運行系統が二以上の地方運輸局長の管轄区域に設定され、かつ、その起点から終点までの距離の合計(運行系統が重複する部分に係る距離を除く。)が百キロメートル以上である場合にあっては国土交通大臣)に、 貨物軽自動車運送事業に係るものにあってはその主たる事務所の所在地を管轄する運輸監理部長又は運輸支局長に、それぞれ提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 事業の種別(一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は貨物軽自動車運送事業の別をいう。)
三 設定し、又は変更しようとする運賃及び料金を適用する運行系統又は地域
四 設定し、又は変更しようとする運賃及び料金の種類、額及び適用方法(変更の届出の場合にあっては、新旧の対照を明示すること。)
五 実施日貨物自動車運送事業報告規則 第2条の2

同じ省令に入っていますが、年次の報告書とは性質が違う条文です。 運賃・料金を決めたり変えたりしたときの事後届出で、期限は「設定又は変更後30日以内」。 ここは軽貨物も対象で、提出先は運輸監理部長または運輸支局長です。 「運送業の届出は年1回」と思っていると、この30日を落とします。 書き方は運賃料金設定(変更)届出書にまとめています。

第3条(臨時の報告) — 求められたら出す

第三条 貨物自動車運送事業者、第一種貨物利用運送事業者及び第二種貨物利用運送事業者(法第三十七条の二第二項に規定する第二種貨物利用運送事業者をいう。)は、 前二条に定める報告書又は届出書のほか、国土交通大臣、地方運輸局長、運輸監理部長又は運輸支局長から、その事業に関し報告を求められたときは、報告書を提出しなければならない。
2 国土交通大臣、地方運輸局長、運輸監理部長又は運輸支局長は、前項の報告を求めるときは、報告書の様式、報告書の提出期限その他必要な事項を明示するものとする。貨物自動車運送事業報告規則 第3条

毎年決まって出すもの以外に、行政側が個別に報告を求める根拠です。第2項で、求める側に様式・期限・必要事項の明示が義務づけられているので、「何をいつまでに」が示されない照会は、この条文に基づく報告徴収ではありません。

※この条の主体は令和8年4月1日施行の改正で広がりました。改正前は「貨物自動車運送事業者又は特定第二種貨物利用運送事業者」でしたが、 現行は第一種・第二種の貨物利用運送事業者全般が含まれます(国土交通省公表の新旧対照表で確認)。

第4条(報告書の経由) — 運輸支局に出してよい理由

第四条 この省令の規定により国土交通大臣に報告書又は届出書を提出するときは、所轄地方運輸局長を経由することができる。
2 この省令の規定により国土交通大臣又は地方運輸局長に報告書又は届出書を提出するときは、その主たる事務所の所在地を管轄する運輸監理部長又は運輸支局長を経由することができる。貨物自動車運送事業報告規則 第4条

第2条の提出先は「所轄地方運輸局長」ですが、実際には多くの事業者が最寄りの運輸支局に持ち込んでいます。 それが許されるのはこの第4条第2項があるからです。宛名は地方運輸局長、持って行く先は運輸支局という組み合わせの根拠条文です。

罰則 — 出さない・虚偽はどうなるか

罰則は省令ではなく法律側に置かれています。

第七十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
(中略)
十二 第六十条第一項(第三十七条第一項及び第三十七条の二第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。貨物自動車運送事業法 第75条第12号

罰金のほかに行政処分(未報告: 警告→10日車、虚偽の報告: 60日車→120日車)と、 事業計画変更の認可要件という実務上の影響があります。 詳しくは未提出の罰則と実害にまとめています。

改正の履歴 — 何がいつ変わったか

附則から読み取れる主な改正を並べます。実務に関係するのは様式の改正と、直近の準用先の変更です。

改正省令施行日内容(附則・新旧対照表から)
制定(平成2年運輸省令第33号)平成2年12月1日法の施行に合わせて制定
平成8年運輸省令第21号平成8年4月1日様式改正。施行前に開始する事業年度分は従前の様式でも可(経過措置)
平成13年国土交通省令第57号平成13年4月1日省庁再編に伴う改正。様式の経過措置あり
平成18年国土交通省令第58号平成18年5月1日会社法施行に伴う改正。旧様式は当分の間使用可
平成27年国土交通省令第38号平成27年5月1日会社法改正に伴う改正
令和元年国土交通省令第20号令和元年7月1日不正競争防止法等の改正に伴う改正
令和7年国土交通省令第3号令和7年4月1日第1条の準用先を「法第37条第3項」から「法第37条の2第3項」に
令和8年国土交通省令第13号令和8年4月1日第1条に「法第37条第1項」の準用を追加。第3条の主体に第一種・第二種貨物利用運送事業者を追加

※上記以外にも軽微な改正があります(平成6年・10年・12年・14年・15年)。一覧はe-Gov法令検索の附則をご覧ください。

よくある質問

「報告規則」と「施行規則」は別ですか

別の省令です。貨物自動車運送事業法施行規則(平成2年運輸省令第21号)は許可申請や事業計画変更などの手続を定め、報告規則(同第33号)は報告書・届出書を定めています。 増車・減車などの手続は施行規則側、事業報告書・事業実績報告書は報告規則側です。

期限の延長や猶予の規定はありますか

報告規則にはありません。期限日が行政機関の休日に当たる場合の扱いは、行政機関の休日に関する法律によります (決算月別早見表の「期限日が土日祝のときは?」参照)。

「決算変更届」という言葉は条文にありますか

ありません。建設業の手続の通称です。運送業に「決算変更届」という手続はないで、法令ごとに検索した結果を載せています。

条文の原文はどこで読めますか

e-Gov法令検索(出典欄のリンク)で、現行の全文と別記様式、附則をすべて読めます。 改正直後は反映に時間差があるため、施行日と「最終更新」の日付を確認してください。

条文を読んだら、自社の期限を確認する

提出期限チェッカー(無料)に決算月を入れると、第2条の表の2つの期限(決算後100日・7月10日)を自社の日付で表示します。 第4号様式は作成ツール(無料)でExcel出力できます。

出典(一次情報)

※本記事は条文の解説です。個別の事案への適用は所轄運輸支局または行政書士にご相談ください。

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