解説ガイド · 提出手続
事業報告書・事業実績報告書の提出方法(窓口・郵送・オンライン)
最終更新: 2026年9月 / 根拠: 貨物自動車運送事業報告規則 第2条、国土交通省「オンライン申請対象手続一覧(自動車運送事業関連手続)」、同「自動車運送事業手続きのオンライン申請をご利用ください」
様式を書き上げたあと、多くの方が手を止めるのが「で、これはどこへ、どうやって出すのか」です。 書き方の解説は多いのに、提出そのものの情報はまとまっていません。提出の方法は3つあり、令和7年12月1日からはオンライン提出も選べるようになりました。この記事では、提出先・提出物・3つの方法の使い分けを、法令と国土交通省の資料に沿って整理します。
1. 提出先は「運輸支局」ではなく「地方運輸局長」あて
ここが最初のつまずきどころです。書類のあて先は地方運輸局長で、 運輸支局は受け取りの窓口という関係になります。
貨物自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く。)は、次の表の第一欄に掲げる事業者の区分に応じ、 同表の第二欄に掲げる国土交通大臣又はその主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長(以下「所轄地方運輸局長」という。)に、同表の第三欄に掲げる報告書を、同表の第四欄に掲げる時期に 提出しなければならない。貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項
| 事業者の区分 | あて先 |
|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業者 (下の行に当たらない事業者) | 所轄地方運輸局長 主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長 |
| 特別積合せ貨物運送を行う 一般貨物自動車運送事業者のうち 一定の要件(※)に当たるもの | 国土交通大臣 |
| 特定貨物自動車運送事業者 | 所轄地方運輸局長 提出するのは事業実績報告書のみ |
※ 運行系統が2以上の地方運輸局長の管轄区域に設定され、かつ、その起点から終点までの距離の合計 (運行系統が重複する部分に係る距離を除く)が100キロメートル以上のもの。 一般的な地域運送を行う事業者は、この行には当たりません。
では地方運輸局まで持って行くのかというと、そうではありません。運輸支局を経由してよいことが、同じ規則に定められています。
この省令の規定により国土交通大臣又は地方運輸局長に報告書又は届出書を提出するときは、その主たる事務所の所在地を管轄する運輸監理部長又は運輸支局長を経由することができる。貨物自動車運送事業報告規則 第4条第2項
窓口へ持参する場合や郵送する場合の相手は、通常この運輸支局です。 近畿運輸局の手引きも「主たる事務所がある地方の運輸局長あて(所轄の運輸支局を経由することもできます)」と 案内しています。
※「運輸監理部」は、一部の地域に置かれている運輸支局に相当する組織です。 自社の管轄がどちらかは、所轄の窓口にご確認ください。
2. 何を出すのか(事業報告書は1枚ではありません)
「事業報告書」は単独の様式ではなく、5点をまとめた呼び名です。 規則はこう定めています。
前項の事業報告書は、事業概況報告書(第一号様式)並びに貸借対照表、損益計算書及び次に掲げる財務計算に関する明細表とする。
一 一般貨物自動車運送事業損益明細表(第二号様式)
二 一般貨物自動車運送事業人件費明細表(第三号様式)貨物自動車運送事業報告規則 第2条第2項
| 報告書 | 中身 |
|---|---|
| 事業報告書 決算後100日以内 | ① 事業概況報告書(第一号様式) ② 貸借対照表 ③ 損益計算書 ④ 一般貨物自動車運送事業損益明細表(第二号様式) ⑤ 一般貨物自動車運送事業人件費明細表(第三号様式) |
| 事業実績報告書 毎年7月10日まで | 貨物自動車運送事業実績報告書(第四号様式)のみ(規則 第2条第3項) |
②貸借対照表と③損益計算書について、近畿運輸局の手引きは「事業者独自のものでもよい」としています。 決算で作ったものをそのまま添えれば足りる、という趣旨です。 運輸局が配布するExcelにも貸借対照表・損益計算書のシートが含まれていますが、 自社の決算書を使えないという意味ではありません。
※取扱いが管轄により異なる可能性があります。自社の決算書を添える形でよいか不安な場合は、 所轄の運輸支局にご確認ください。
3. 提出方法は3つ
方法1: 窓口に持参する
所轄の運輸支局の窓口へ持参します。その場で不備を指摘してもらえるのが利点です。 控えを1部多く持参して受付印をもらっておくと、あとから「出したかどうか」を確認できます。
方法2: 郵送する
国土交通省は、オンライン申請の開始を告げる報道発表のなかで「自動車運送事業関連の申請・届出等は、従来、窓口や郵送等で実施してきましたが」と述べています。郵送は従来から行われてきた方法です。
控えに受付印をもらって返してほしい場合は、控えと返信用封筒(切手を貼り、宛名を書いたもの)を 同封するのが一般的な運用です。
方法3: オンラインで出す(e-Gov電子申請)
令和7年12月1日から、事業報告書・事業実績報告書をe-Gov電子申請で提出できるようになりました。国土交通省が公開している「オンライン申請対象手続一覧(自動車運送事業関連手続)」に、 次の2つが対象手続として掲載されています。
| 手続名 | 根拠法令 | 電子申請の利用開始日 |
|---|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業者の事業報告書の提出 | 貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項 | 令和7年12月1日 |
| 貨物事業者の事業実績報告書の提出(一般貨物、特定貨物) | 貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項 | 令和7年12月1日 |
この制度は、自動車運送事業全体で合計140手続をオンライン化する取組の一部です。
使う前に知っておくこと
- アカウントが1つ要ります。e-Govアカウント・GビズID・Microsoftアカウントのいずれか1種類で、 基本的に無料で取得できます。e-Govアカウントはメールアドレスの登録・確認・パスワード設定だけで、 国土交通省のマニュアルでは「5〜10分程度で簡単に取得できます」とされています。
- パソコンに「e-Govアプリ」を入れます。ブラウザだけでは使えず、e-Gov電子申請アプリケーションのインストールが必要です。
- 申請はパソコンから。スマートフォンは状況確認のみです。マニュアルのFAQに「スマートフォンでオンライン申請の入力・提出を行うことはできませんが、 既に申請された案件の状況確認やお知らせ等の確認については行うことができます」とあります。
- 提出後の状況を画面で確認できます。処理状況の確認、公文書の確認、手続完了の証跡の保存ができます。 窓口へ行かなくても、出したかどうかが後から分かるということです。
※かつては Java 実行環境が必要とされていましたが、現在のマニュアル (令和8年7月・バージョン1.40)では e-Gov アプリのインストールのみが案内されており、 Java への言及はありません。古いリーフレットには Java の記載が残っているためご注意ください。
操作の手順はe-Gov電子申請のやり方に、 画面の流れに沿ってまとめています。
困ったときの問い合わせ先
| 内容 | 問い合わせ先 |
|---|---|
| パソコンの設定・システムの操作や不具合 | e-Gov利用者サポートデスク(050-3786-2225) |
| 書類の中身・添付資料 | 所在地を管轄する運輸局・運輸支局 |
4. どれを選ぶか
| 窓口 | 郵送 | オンライン | |
|---|---|---|---|
| 移動 | 必要 | 不要 | 不要 |
| その場で不備を確認 | できる | できない | できない |
| 出した記録 | 受付印のある控え | 受付印のある控え(返信用封筒が必要) | 申請書控え+完了画面のPDF(自分で保存する) |
| 事前準備 | 不要 | 封筒・切手 | アカウントの取得とアプリの導入(初回のみ) |
| 費用 | 交通費 | 切手代(往復) | 無料(電子署名も不要) |
| 向いている人 | 初めてで不安な方 | 支局が遠い方 | 毎年出す方・複数営業所をお持ちの方 |
初めての年は窓口で確認してもらい、要領が分かってから郵送かオンラインに移す、という進め方が無理がありません。 オンラインは最初の環境設定さえ済ませれば、翌年以降がいちばん楽になります。
5. 期限(規則 第2条第1項)
| 報告書 | 対象期間 | 期限 |
|---|---|---|
| 事業報告書 | 毎事業年度 | 毎事業年度の経過後100日以内 |
| 事業実績報告書 | 前年4月1日〜3月31日 | 毎年7月10日まで |
自社の決算月から期限を出すには決算月別の早見表が使えます。 提出しなかった場合に何が起きるかは未提出の罰則と実害にまとめています。
よくある質問
何部出せばよいですか
貨物自動車運送事業報告規則に部数の定めはありません。控えを取るかどうかも含め、運用は管轄により異なります。 持参・郵送のときは、提出用に加えて控えを1部用意しておくと確実です。 部数の指定があるかは、所轄の運輸支局にご確認ください。
手数料はかかりますか
貨物自動車運送事業報告規則に手数料の定めはありません。報告書の提出は許認可の申請ではないためです。 郵送の場合の郵便料金や、返信用封筒の切手は自己負担になります。
個人事業主でも出す必要がありますか
必要です。近畿運輸局の手引きは、対象事業者を「一般貨物自動車運送事業を経営している者すべて(事業規模、法人・個人に関係なく)」としています。車両1台でも、赤字でも、休業していなければ提出義務があります。
去年の分を出し忘れました。今年の分と一緒に出せますか
さかのぼって提出するのが原則です。年度ごとに別の書類なので、年度ごとに作成して提出します。 取扱いは所轄の運輸支局にご確認ください。
作るところを楽にする
提出期限チェッカー(無料)に決算月を入れると、 2つの報告書の次回期限と残り日数が出ます。 兼業がある場合の按分は兼業按分計算ツール(無料)、 第4号様式の集計は第4号様式 作成ツール(無料)が使えます。
様式ごとの書き方
出典(一次情報)
- 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov法令検索) — 第2条第1項(提出先・期限)・第2項(事業報告書の構成)・第3項(事業実績報告書)、第4条第2項(運輸支局の経由)
- 国土交通省「自動車運送事業(バス、タクシー、トラック)・レンタカー・自家用有償に関するオンライン申請」 — オンライン申請対象手続一覧、リーフレット、業務マニュアル
- オンライン申請対象手続一覧(自動車運送事業関連手続) — No.48「一般貨物自動車運送事業者の事業報告書の提出」・No.49「貨物事業者の事業実績報告書の提出」いずれも電子申請利用開始日 令和7年12月1日
- 国土交通省「e-Govオンライン申請業務マニュアル(自動車運送事業関連手続)」(令和8年7月・v1.40) — アカウントの取得、e-Govアプリのインストール、申請に係るFAQ
- 国土交通省「自動車運送事業手続きのオンライン申請をご利用ください!」(リーフレット) — オンライン申請の利点、問い合わせ先
- 国土交通省 報道発表「自動車運送事業関連手続きのオンライン申請の本格運用を開始します」 — 従来は窓口・郵送等で実施してきた旨
- 近畿運輸局「事業報告書・事業実績報告書作成の手引き」 — 対象事業者、提出先(運輸支局の経由)、貸借対照表・損益計算書は事業者独自のものでもよい旨
※本記事は一般的な解説です。提出部数・あて先の書き方・控えの取扱いなど、 運用の細部は管轄の運輸局・運輸支局により異なる場合があります。 個別の事案は所轄運輸支局または行政書士にご相談ください。