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報告書を出さないとどうなる?未提出の罰則と実害
最終更新: 2026年9月 / 根拠: 貨物自動車運送事業法 第60条・第75条、国土交通省 行政処分等の基準、地方運輸局の公示(事業計画変更の処理方針)
事業報告書・事業実績報告書の提出は、貨物自動車運送事業法 第60条第1項に基づく法律上の義務です。 「出さなくても何も言われない」と思われがちですが — 運輸支局から督促が来ないだけで、未提出は罰則・行政処分のほか、事業を拡大したいときの認可要件という形で効いてきます。
1. 罰則:100万円以下の罰金
報告をせず、または虚偽の報告をした場合、100万円以下の罰金の対象になります (貨物自動車運送事業法 第75条第12号。第60条第1項の報告義務違反)。
2. 行政処分:未提出は警告 → 10日車。ただし虚偽はまったく別格
国土交通省の行政処分等の基準(別表)では、第60条第1項の報告義務違反は「未報告」と「虚偽の報告」に分けて定められています。
| 違反 | 初違反 | 再違反 |
|---|---|---|
| 未報告(出していない) | 警告 | 10日車 |
| 虚偽の報告 | 60日車 | 120日車 |
「日車」は車両使用停止処分の日数。出典: 国土交通省「貨物自動車運送事業者に対し行政処分等を行うべき違反行為及び日車数等について 別表」 (令和7年2月改正・同年4月施行)の「法第60条第1項 報告義務違反」の項。
処分は点数として累積し、積み重なると事業停止・許可取消につながる段階制です。
3. 実務上いちばん痛い:事業を広げるときの認可要件になる
各地方運輸局は、事業計画変更の審査基準を公示で定めています。そこでは「事業規模の拡大となる申請」について、次の項目を含むすべてを満たすことが要件とされています。
貨物自動車運送事業法(以下「法」という。)第60条第1項及び同項に基づく貨物自動車運送事業報告規則による事業報告書、事業実績報告書及び運賃・料金の届出並びにその他の報告の徴収について、届出・報告義務違反がないこと。近畿運輸局「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更に関する処理方針について」 1(1)②オ(平成15年2月28日 近運自貨公示第2号、最終改正 令和7年8月1日 近運自貨公示第3号)
営業所の新設など事業規模の拡大となる変更のほか、増車でも一定規模以上(申請日前3か月の増加分と合わせて営業所の車両数の30%以上、かつ合計10両超)や、巡回指導の総合評価がEだった場合などは認可の対象となり、同じ基準が適用されます。
※上記は近畿運輸局の公示の条文です。公示は地方運輸局ごとに定められているため、 文言や適用範囲が管轄により異なる場合があります。実際の取扱いは所轄の運輸支局にご確認ください。 なお認可ではなく事前届出で足りる増車についても、提出状況を確認したうえで受理する旨を 案内している運輸局があります(鹿児島県トラック協会が配布する九州運輸局あての記載例に 「事業計画(事業用自動車の数)変更の事前届出の際には、事業実績報告書の提出状況の確認が行われた後に 受理されることになります」との記載)。届出だから関係ない、とは考えないほうが安全です。
4. 巡回指導・監査でも必ず確認される
トラック協会(適正化事業実施機関)の巡回指導では、報告書の提出状況が確認項目に含まれます。 未提出は評価の低下につながり、評価が悪いと運輸支局への報告→監査へと発展しえます。 Gマーク(安全性優良事業所)の取得にも報告書の提出は前提となります。
「忘れやすい」のには構造的な理由がある
- 運輸支局は提出時期の案内を送ってきません。期限管理は完全に自己責任です。
- 事業報告書は決算後100日、実績報告書は毎年7月10日と、期限の基準がバラバラ。
- 年1回しか作らない書類のため、担当者が変わると引き継がれにくい。
自社の期限は決算月別早見表で確認できます。 2つの報告書の違いがあいまいな方は事業報告書と事業実績報告書の違いからどうぞ。
出し方そのものが分からないために止まっている場合は、報告書の提出方法(窓口・郵送・オンライン)をご覧ください。 令和7年12月1日からはe-Gov電子申請でも提出できます。
提出忘れを仕組みで防ぐ
提出期限チェッカー(無料)に決算月を入れると、 2つの報告書の次回期限と残り日数がすぐ分かります。作成は第4号様式 作成ツールでExcel出力まで自動化できます。
よくある質問
何年か出していません。今からどうすれば?
さかのぼって提出するのが原則です。増車等の認可申請を予定しているなら、その前に未提出分を解消しておく必要があります。 具体的な取り扱いは所轄の運輸支局に確認してください(自主的な提出で咎められることは通常ありません)。
提出したかどうか分からなくなりました
控え(受付印のある写し)を確認するか、所轄運輸支局に問い合わせれば確認できます。以後は控えの保管と期限管理をルール化しましょう。
出典(一次情報)
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索) — 第60条第1項(報告義務)・第75条第12号(罰則)
- 国土交通省 自動車運送事業者に対する行政処分等の基準
- 【別表】(貨物)違反事項ごとの行政処分等の基準(令和7年2月改正、4月施行) — 「法第60条第1項 報告義務違反」の項
- 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov) — 第2条
- 近畿運輸局 公示「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更に関する処理方針について」 — 1(1)②オ・1(2)②③
- 鹿児島県トラック協会「事業報告書及び事業実績報告書の提出について(記載例)」 — 事前届出時の提出状況の確認について
※本記事は一般的な解説です。個別の事案は所轄運輸支局または行政書士にご相談ください。