解説ガイド · 事業報告書
人件費明細表(第3号様式)の書き方と記入例 — 支給延人員・雇用延人員の数え方
最終更新: 2026年9月 / 根拠: 貨物自動車運送事業報告規則 別記第3号様式、事業報告関連書類の記入要領(4)①〜⑩(全日本トラック協会掲載PDF)
人件費明細表(正式名: 一般貨物自動車運送事業人件費明細表・第3号様式)は、事業報告書の添付書類のひとつで、 運送事業の人件費を「誰に(区分)×何を(費目)」のマトリクスで記載します(単位: 千円)。損益明細表(第2号様式)の人件費の内訳を示す関係にあり、両者の合計は一致している必要があります。
様式の構成 — 列(区分)と行(費目)
| 列(区分) | 誰の人件費か |
|---|---|
| 運送費 — 運転者 | 運転者(ドライバー) |
| 運送費 — その他 | 荷扱手・助手・整備員・運行管理者・営業所の事務員など現場部門 |
| 一般管理費 | 本社・管理部門(役員を含む) |
| 合計 | — |
| 行(費目) | 内容 |
|---|---|
| 役員報酬 | 取締役等への報酬(通常は一般管理費列) |
| 給料・手当 | 基本給・残業手当・各種手当 |
| 賞与 | ボーナス。賞与引当金を設定している場合はこれに含めて計上(記入要領③) |
| 小計 | 給料・手当と賞与の小計。一般管理費の役員報酬は含めない(記入要領④が明文で注意) |
| (支給延人員) | 人月単位。給料を支払った月別人員数の年度合計(例: 毎月20人×12ヶ月=240人月) |
| 退職金 | 退職金・退職給付費用 |
| 法定福利費 | 社会保険料・労働保険料の会社負担分 |
| 厚生福利費 | 健康診断・慶弔・社宅など任意の福利厚生 |
| 臨時雇賃金 | 日雇・臨時アルバイトへの賃金 |
| (雇用延人員) | 人日単位。臨時雇賃金を支払った日ごとの人員数の年度合計 |
| その他人件費 | 上記に入らない人件費 |
| 合計 | — |
支給延人員・雇用延人員の数え方(具体例)
- 支給延人員(人月) … 「毎月、給料を何人に払ったか」の合計。 例: 4〜9月は運転者12人、10〜3月は13人 → 12×6+13×6=150人月。
- 雇用延人員(人日) … 「臨時雇いに、日単位で延べ何人働いてもらったか」。 例: 繁忙期に日雇2人×20日 → 40人日。
期中の入退社は「その月に給料を払ったか」で数えます。 この人員データは事業概況報告書(第1号様式)の従業員数とも整合させます。第1号様式の備考1により、従業員数は(支給延人員[人月] + 雇用延人員[人日]÷25)÷ 当該事業年度の月数で求めます(臨時雇は25人日=1人に換算)。
記入例 — 架空の会社で全欄を埋める(単位: 千円)
| 費目 | 運送費 運転者 | 運送費 その他 | 一般管理費 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 役員報酬 | — | — | 6,000 | 6,000 |
| 給料・手当 | 42,000 | 7,200 | 7,900 | 57,100 |
| 賞与 | 6,000 | 1,000 | 1,100 | 8,100 |
| 小計 | 48,000 | 8,200 | 9,000 | 65,200 |
| (支給延人員) | 120人月 | 24人月 | 24人月 | 168人月 |
| 退職金 | 0 | 0 | 1,500 | 1,500 |
| 法定福利費 | 7,100 | 1,250 | 2,200 | 10,550 |
| 厚生福利費 | 600 | 100 | 200 | 900 |
| 臨時雇賃金 | 0 | 480 | 0 | 480 |
| (雇用延人員) | — | 40人日 | — | 40人日 |
| その他人件費 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 合計 | 55,700 | 10,030 | 18,900 | 84,630 |
この例の読み方(つまずきやすい順)。
- 役員報酬6,000は一般管理費の列だけに入れます。運送費側に役員報酬は入りません。
- 小計65,200は「給料・手当+賞与」だけです(57,100+8,100)。すぐ上の役員報酬を足したくなりますが、記入要領④が「一般管理費の役員報酬は含まないので注意すること」と明記しています。
- 支給延人員120人月 = 運転者10人 × 12ヶ月(全員通年在籍)。期中に入退社があれば「その月に給料を払った人数」を月ごとに数えて合計します。
- 雇用延人員40人日 = 日雇い2人 × 20日。金額(臨時雇賃金480)とセットで記入します。
- 退職金1,500 = 期中に退職した事務員1人分。現実に支出した額と、決算整理で計算した退職給与引当金の合計を職種ごとに書きます(記入要領⑥)。
よくある間違い
- 運転者の給料を一般管理費に入れる … 運転者は必ず「運送費—運転者」列です。
- 支給延人員を「期末の在籍人数」で書く … 延人員は年度合計(人月)です。在籍20人なら約240人月になるはず。
- 損益明細表と合計が合わない … 第2号様式の人件費(運送費+一般管理費)と第3号様式の合計は一致が原則。ズレたら按分・振替のもれを疑う。
- 法定福利費のもれ … 社会保険の会社負担分は給料とは別の行です。
兼業がある場合
運送業以外の事業を兼業している場合は、運送事業に係る人件費だけを計上します。 両部門にまたがる人(経理担当など)は、配分基準通達等により各事業に適正に配分します。 根拠となる通達と科目別の基準は兼業がある場合の按分ルールと配分基準をご覧ください。
作り終えたら、第1号〜第3号様式に貸借対照表・損益計算書を添えた5点で提出します (添付する2点は自社のもので足ります)。 出し方は窓口・郵送・オンラインの3つから選べます。
提出期限に注意
人件費明細表を含む事業報告書は決算後100日以内(決算月別早見表)。期限チェッカー(無料)で自社の期限と残り日数を確認できます。
出典(一次情報)
- 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov法令検索) — 第2条・別記第3号様式
- 全日本トラック協会 事業報告書(様式配布)
※本記事は一般的な解説です。具体的な振り分け・按分は顧問税理士・行政書士または所轄運輸支局にご確認ください。