解説ガイド · 基礎知識
特定貨物自動車運送事業者の報告義務 — 出すのは事業実績報告書だけ
最終更新: 2026年10月 / 根拠: 貨物自動車運送事業法 第2条・第35条、貨物自動車運送事業報告規則 第2条(いずれもe-Gov法令検索・2026年10月取得の現行条文)、 国土交通省「オンライン申請対象手続一覧(自動車運送事業関連手続)」
結論: 特定貨物自動車運送事業者が毎年出すのは、事業実績報告書(第4号様式)の1つだけです。期限は毎年7月10日。一般貨物自動車運送事業者が出している「事業報告書」(決算後100日以内)は、 特定貨物には求められていません。条文の表にそう書かれています。
1. 特定貨物自動車運送事業とは
3 この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。貨物自動車運送事業法 第2条第3項
一般貨物との違いは「誰の需要に応じるか」です。
| 一般貨物自動車運送事業 | 特定貨物自動車運送事業 | |
|---|---|---|
| 定義(法第2条) | 他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のもの(第2項) | 特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業(第3項) |
| 許可 | 法第3条 | 法第35条第1項 |
| 許可申請書の記載事項 | — | 「運送の需要者の氏名又は名称及び住所」を記載(法第35条第2項第2号) |
許可申請書に運送の需要者(荷主)を特定して書くことが、特定貨物の制度上の特徴です。
2. 報告規則第2条の表 — 特定貨物の行は1つだけ
第二条 貨物自動車運送事業者(貨物軽自動車運送事業者を除く。)は、次の表の第一欄に掲げる事業者の区分に応じ、 同表の第二欄に掲げる国土交通大臣又はその主たる事務所の所在地を管轄する地方運輸局長(以下「所轄地方運輸局長」という。)に、 同表の第三欄に掲げる報告書を、同表の第四欄に掲げる時期に提出しなければならない。貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項
| 第一欄: 事業者の区分 | 第二欄: 提出先 | 第三欄: 報告書 | 第四欄: 時期 |
|---|---|---|---|
| 一 一般貨物自動車運送事業者 | 所轄地方運輸局長 | 事業報告書 事業実績報告書 | 毎事業年度の経過後百日以内 毎年七月十日まで |
| 二 特別積合せ(一定規模以上) | 国土交通大臣 | 事業報告書 事業実績報告書 | 同上 |
| 三 特定貨物自動車運送事業者 | 所轄地方運輸局長 | 前年四月一日から三月三十一日までの期間に係る事業実績報告書 | 毎年七月十日まで |
※一・二の行は簡略化しています。全文は報告規則の逐条解説をご覧ください。
国土交通省のオンライン申請対象手続一覧でも、事業実績報告書はNo.49「貨物事業者の事業実績報告書の提出(一般貨物、特定貨物)」として 一般と特定の両方が対象、事業報告書はNo.48「一般貨物自動車運送事業者の事業報告書の提出」として一般だけが対象になっており、条文と一致しています。
3. 特定貨物の事業実績報告書の出し方
| 様式 | 第4号様式「貨物自動車運送事業実績報告書」(規則第2条第3項)。一般貨物と同じ様式 |
|---|---|
| 対象期間 | 前年4月1日〜3月31日(決算月に関係なく固定) |
| 期限 | 毎年7月10日まで |
| 提出先 | 所轄地方運輸局長(主たる事務所を管轄する運輸監理部長又は運輸支局長を経由できる。規則第4条第2項) |
| 提出方法 | 窓口・郵送のほか、e-Gov電子申請(No.49・令和7年12月1日から) |
様式の左上にある「区分」欄では、「特定」を○で囲みます(区分の欄は該当する事項を○で囲む、と様式の備考にあります)。 各欄の書き方は一般貨物と同じなので、事業実績報告書(第4号様式)の書き方・記入例をそのまま使えます。 提出方法の比較は報告書の提出方法、 オンラインの操作はe-Gov電子申請の手順にあります。
4. 一般貨物と特定貨物の両方の許可を持っている場合
報告規則第2条の表は「事業者の区分に応じ」て報告書を定めています。 一般貨物自動車運送事業者に該当する以上、一の行の義務(事業報告書と事業実績報告書)がかかります。特定貨物の許可も持っているからといって、事業報告書が不要になるわけではありません。
※両方を経営している場合に、第4号様式を1枚にまとめるか分けるかを定めた条文は見当たりません。 様式の区分欄が○で複数選べる形になっていますが、具体的な書き方は所轄の運輸支局にご確認ください。
よくある質問
特定貨物でも出さないと罰則がありますか
あります。事業実績報告書は法第60条第1項に基づく報告で、報告をしない・虚偽の報告をした場合は 100万円以下の罰金の対象です(法第75条第12号)。詳しくは未提出の罰則と実害をご覧ください。
軽貨物(黒ナンバー)も出しますか
出しません。報告規則第2条第1項の冒頭で「貨物軽自動車運送事業者を除く」とされています。 ただし運賃・料金の届出(規則第2条の2)は軽貨物も対象です(運賃料金設定(変更)届出書)。
期限はいつですか
毎年7月10日です。決算月は関係ありません。提出期限チェッカー(無料)でも確認できます。
第4号様式を作る
第4号様式 作成ツール(無料)は、区域別の数値から全国計・実働率・実車率を自動計算してExcelに出力します。
出典(一次情報)
- 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov法令検索) — 第2条(表の三の行)・第4条
- 貨物自動車運送事業法(e-Gov法令検索) — 第2条第2項・第3項(定義)、第35条(特定貨物の許可)、第60条第1項、第75条第12号
- 国土交通省「オンライン申請対象手続一覧(自動車運送事業関連手続)」(Excel) — No.48・No.49
※本記事は一般的な解説です。個別の事案は所轄運輸支局または行政書士にご相談ください。