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運送業に「決算変更届」という手続はない — 正しくは事業報告書

最終更新: 2026年9月 / 根拠: 貨物自動車運送事業法、貨物自動車運送事業報告規則、建設業法(いずれもe-Gov法令検索)

「運送業の決算変更届はいつまでですか」と聞かれることがあります。 結論から言うと、運送業に「決算変更届」という名前の手続はありません。これは建設業の手続の通称で、運送業で相当するのは事業報告書です。 名前が違うだけなら害はありませんが、期限が4か月と100日で違い、 しかも運送業には別に「事業計画の変更届出」という本物の届出があるため、 取り違えると実害が出ます。

1. 法令に「決算変更届」という語は出てこない

まず事実の確認です。運送業を規律する法令の条文を検索すると、次のようになります。

法令「決算変更届」の語使われている名称
貨物自動車運送事業法なし事業報告書(第60条第1項の報告)
貨物自動車運送事業報告規則なし事業報告書・事業実績報告書
建設業法なし(通称)第11条第2項の書類の提出

建設業法にも「決算変更届」という語はありません。こちらも通称です。ではなぜそう呼ばれるのかというと、根拠になっている 建設業法第11条の見出しが「変更等の届出」で、 その第2項が毎事業年度の決算に関する書類の提出を定めているためです。

(変更等の届出)
第十一条 (第1項 略)
2 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類 その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、 国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。建設業法 第11条(抄)

「決算に関する書類を出す」+「変更等の届出という条文名」で決算変更届。 建設業では広く定着した呼び方です。これが運送業の話をするときにも使われることがあります。

2. 建設業と運送業で、期限も提出先も違う

名前を借りるだけなら問題ありませんが、中身は別の制度です。とくに期限を取り違えると、そのまま未提出になります。

建設業運送業(一般貨物)
通称決算変更届・事業年度終了届—(通称として持ち込まれることがある)
正式な呼び方建設業法第11条第2項の書類の提出事業報告書
期限毎事業年度経過後4か月以内毎事業年度の経過後100日以内
提出先国土交通大臣又は都道府県知事所轄地方運輸局長
根拠建設業法 第11条第2項貨物自動車運送事業報告規則 第2条第1項
4か月と100日は同じではありません。3月31日決算なら、4か月以内は7月31日まで、100日以内は7月9日までです (100日は決算日の翌日から数えます)。建設業の感覚でいると3週間ほど遅れます。自社の決算月の期限は決算月別の早見表で確認できます。

建設業と運送業の両方の許可を持っている事業者は、年に2回、別々の期限で提出することになります。 どちらか一方を出したことで安心してしまう取り違えが起きやすいところです。

3. 運送業にも「変更届」はある。ただし決算とは無関係

ここが実害につながる点です。運送業にも届出は存在しますが、決算とはまったく別の「事業計画の変更」に関するものです。

第九条 一般貨物自動車運送事業者は、事業計画の変更(第三項に規定するものを除く。)をしようとするときは、 国土交通大臣の認可を受けなければならない。
(中略)
3 一般貨物自動車運送事業者は、事業用自動車に関する国土交通省令で定める事業計画の変更をするときは、 あらかじめその旨を、国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、遅滞なくその旨を、 国土交通大臣に届け出なければならない。貨物自動車運送事業法 第9条(抄)
事業報告書事業計画の変更(認可・届出)
何の手続か1年間の営業状況の報告営業所・車庫・車両数などを変えるときの手続
いつ毎年(決算後100日以内)変更するとき都度
根拠法第60条第1項・報告規則第2条法第9条
出さないと罰金・行政処分の対象無認可・無届の変更として処分の対象

「決算変更届を出しておいてください」と言われて事業計画変更の書類を探しても見つかりませんし、 逆に増車の届出を済ませたことで報告書まで出した気になってしまうこともあります。年1回の報告なのか、変更の都度の手続なのかで切り分けてください。

4. 運送業で毎年出すのは2つ

紛らわしいので、運送業で毎年必要になるものを並べておきます。

名称内容期限
事業報告書決算の数字(第1号〜第3号様式・貸借対照表・損益計算書の5点)毎事業年度の経過後100日以内
事業実績報告書輸送実績(第4号様式)。4月1日〜3月31日の実績毎年7月10日まで

決算月に関係なく、事業実績報告書は全事業者が7月10日です。 2つの違いは事業報告書と事業実績報告書の違いで 比較表にしています。

よくある質問

行政書士に「決算変更届」と言われました。間違いですか

間違いではありません。通称として通じる場面があります。ただし正式な名称は事業報告書で、期限は決算後100日以内です。 話が建設業のほうの手続とすり替わっていないか、期限の数字で確かめると確実です。

決算が確定していません。期限を延ばせますか

期限の延長について、報告規則に定めはありません。 決算が間に合わない見込みであれば、放置せず所轄の運輸支局に相談してください。 出さないままにした場合の扱いは未提出の罰則と実害のとおりです。

どこへ、どうやって出しますか

提出先は所轄地方運輸局長あてで、運輸支局を経由できます。 令和7年12月1日からはe-Gov電子申請も選べます。報告書の提出方法(窓口・郵送・オンライン)にまとめました。

まず自社の期限を確認する

提出期限チェッカー(無料)に決算月を入れると、 事業報告書と事業実績報告書の次回期限と残り日数が出ます。

出典(一次情報)

※本記事は一般的な解説です。個別の事案は所轄運輸支局または行政書士にご相談ください。

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