解説ガイド · 第4号様式
実働率・実車率とは — 計算式と、第4号様式の数字を検算する使い方
最終更新: 2026年8月 / 根拠: 国土交通省 自動車輸送統計 用語の定義、事業実績報告関連書類の記入要領⑥⑧(長野県トラック協会掲載PDF)
実働率と実車率は、事業実績報告書(第4号様式)の欄には存在しません。しかし、様式に書く4つの数字 (延実在車両数・延実働車両数・走行キロ・実車キロ)から計算でき、記入ミスを見つける検算と前年との比較に使えます。 この記事では国土交通省の用語定義に基づいて意味と計算式を整理し、実務での使い方まで説明します。
まず定義(国土交通省 自動車輸送統計)
| 用語 | 定義(原文) |
|---|---|
| 延実在車両数 | 自動車が調査期間中に延日数にして何両あったかを表したもの |
| 延実働車両数 | 貨物輸送又は旅客輸送のため走行した自動車が調査期間中に延日数にして何両あったかを表したもの |
| 実働率 | 調査期間中にあった車両数のうち、何両が貨物輸送又は旅客輸送のために走行したかを延日数による割合で表したもの |
| 走行キロ | 自動車が走った距離をキロメートルで表したもので、貨物や旅客を輸送したかどうかは問いません |
| 実車キロ | 自動車が実際に貨物又は旅客を載(乗)せて走った距離 |
| 実車率 | 自動車が走行した距離のうち、貨物(旅客)を輸送した距離の割合を表したもの |
計算式
実働率(%) = 延実働車両数 ÷ 延実在車両数 × 100
在籍していた延べ日車のうち、実際に走った延べ日車の割合。
実車率(%) = 実車キロ ÷ 走行キロ × 100
走った距離のうち、荷物を積んで走った距離の割合。
計算例
車両10台が通年在籍し、うち稼働が延べ2,920日車、走行512,000km・実車358,400kmだった場合。
| 項目 | 数値 | 計算 |
|---|---|---|
| 延実在車両数 | 3,650 日車 | 10台 × 365日 |
| 延実働車両数 | 2,920 日車 | — |
| 実働率 | 80.0 % | 2,920 ÷ 3,650 × 100 |
| 走行キロ | 512,000 km | — |
| 実車キロ | 358,400 km | — |
| 実車率 | 70.0 % | 358,400 ÷ 512,000 × 100 |
⚠ 実車キロには2つの例外があります(記入要領⑧)
実車率の分子になる実車キロは、「荷物を積んで走った距離」が原則ですが、 第4号様式の記入要領は次の2点を定めています。これを知らないと実車率がずれます。
- 時間制運賃の場合は、空車でも実車に含める … 原文は「時間制運賃を適用する場合で運賃収受の対象となる時間内にあっては、貨物を積載しないで走行した場合も実車として扱うこと」。
- フェリー乗船中の距離は含めない … 原文は「フェリーボートに乗船中の距離は含まれない」。 長距離でフェリーを使う事業者は、乗船区間を実車キロから除きます。(記入要領がこの除外を明記しているのは実車キロについてです。走行キロ側の取り扱いは明文がないため、 判断に迷う場合は所轄運輸支局にご確認ください)
延実働は「1日単位」で数える(記入要領⑥)
実働率の分子である延実働車両数は、記入要領で「事業用自動車が稼働したかどうかは一日単位で判断する。 このため、一日のうち短時間のみ稼働しその後は稼働しなかった場合も一日車と算定する」と定められています。 1日に何運行しても1日車、30分だけ走っても1日車です。数え方の詳細は延実在車両数・延実働車両数の計算方法をご覧ください。
使い方①:記入ミスの検算(提出前チェック)
この2つの指標は、様式の数字が矛盾していないかを確かめる道具として使えます。 次のいずれかに当てはまったら、間違いなく入力ミスです。
| 症状 | 疑うべき原因 |
|---|---|
| 実働率が100%を超える | 延実働 > 延実在。休車・修理中の日を在籍から引いてしまった(在籍は登録されていれば数える)、または稼働日数の二重計上 |
| 実車率が100%を超える | 実車キロ > 走行キロ。実車キロに空車回送を含めた、または走行キロを実車分だけで集計した |
| 実働率が極端に低い(例: 20%台) | 延実在を「保有台数×365」で機械的に出し、期中の減車を反映していない可能性 |
| 実車率が極端に高い(例: 98%) | 空車での回送・帰り便を走行キロに入れ忘れている可能性 |
使い方②:前年と比べる(業界平均ではなく自社比較)
実車率は帰り荷を確保できたかどうかで大きく変動します。荷主構成や運行ルートが変われば数字も動くため、他社や業界平均と比べるより自社の前年と比べるほうが実務的な意味があります。
実務では、帰り荷を確保できるかどうかが会社ごと・年ごとに変わるため、実車率は毎年見直しが必要な数字になります。 前年の数字を残しておき、大きく動いた年はその理由(荷主の増減・車種変更・長距離比率の変化)を確認する、という使い方が有効です。
※本記事では業界平均値は掲載していません。公表統計の数値は年度・集計区分によって前提が異なり、 自社の数字と単純比較できないためです。比較する場合は国土交通省「自動車輸送統計年報」で前提を確認してください。
よくある質問
実働率・実車率は第4号様式に書く必要がありますか
いいえ。様式に該当する欄はありません。書くのは延実在車両数・延実働車両数・走行キロ・実車キロの4つで、 実働率・実車率はそこから計算できる参考指標です。
休車中・車検中の車両はどう扱いますか
延実在(分母)には含め、延実働(分子)には含めません。そのため休車が多い年は実働率が下がります。在籍は「登録されているか」で数えます。
実車率が低いと行政処分の対象になりますか
貨物自動車運送事業報告規則および第4号様式には、実働率・実車率について基準値を定めた規定はありません (そもそも様式に記載する欄自体がありません)。 報告に関して処分の対象となるのは報告書の未提出・虚偽記載です。
入力すると実働率・実車率まで自動計算します
第4号様式 作成ツール(無料)は、区域別に入力すると全国計に加えて実働率・実車率を自動計算します(様式外の参考値として表示)。提出前の検算にお使いください。 提出期限の確認は期限チェッカーへ。
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出典(一次情報)
- 国土交通省 自動車輸送統計 用語の定義 — 延実在車両数・延実働車両数・実働率・走行キロ・実車キロ・実車率
- 事業実績報告関連書類の記入要領(長野県トラック協会掲載PDF) — ⑥(稼働は一日単位)・⑧(時間制運賃・フェリー)
- 貨物自動車運送事業報告規則(e-Gov法令検索) — 第2条・別記第4号様式
※本記事は上記の原文に基づく一般的な解説です。個別の集計方法は所轄運輸支局または行政書士にご確認ください。 記載に誤りや実務との齟齬にお気づきの際はお問い合わせからお知らせいただけると助かります。